こんにちはー!ドローンは飛ばすよりも作るほうが好きなK-ki(K-ki@Ailerocket)です。突然ですが、ドローン好きなら絶対に知っている機体メーカー「DJI」の日本法人、DJI JAPAN株式会社が認定するドローン操縦の資格があるのをご存知ですか?
DJI製品に限らず、ドローンを手に入れて飛ばしていると、絶対に「操縦が上手くなりたい!」という気持ちが芽生えると思います。ドローンの操縦を練習して、上手くなったかどうかは自己評価によるところが大きいですが、客観的な観点でも操縦の上達を実感したいなら、ドローン操縦の資格を取得する、という方法もあると思います。もちろん、資格を取得すれば自己満足できるだけでなく、実用的なメリットもあるので、ドローンを飛ばすのが好きならチャレンジして見る価値はあると思います。
そんなこんなで今回は、DJI JAPANが認定するドローン操縦の資格について、どんな資格があって、どんなメリットが得られ、どうやったら取得できるのか、詳しく紹介しちゃいます!
DJI JAPANの認定資格とは
DJI JAPANが認定するドローン操縦資格には3種類あります。「DJIスペシャリスト」「DJIインストラクター」「DJIマスター」の3つです。これらの資格がそれぞれどんなものか、簡単に説明していきましょう。
DJIスペシャリスト
DJIスペシャリストはDJI JAPANが認定するドローン操縦資格の中で最も基礎的な位置づけの資格です。「DJI CAMP」というDJI JAPAN傘下の UTC(Unmanned Aerial System Training Center)が企画する教育プログラムを受講して、試験に合格したドローンパイロットに与えられます。
資格名称 | DJIスペシャリスト |
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認定団体 | DJI JAPAN株式会社 |
認定内容 | 10時間以上の飛行操縦経験がある操縦者で、DJI製品のユーザーマニュアルを事前に熟読し、実際のマルチコプター飛行業務に従事できる者 |
取得方法 | DJI JAPAN株式会社傘下の UTCが企画する教育プログラム「DJI CAMP」に参加し認定試験に合格すること |
取得費用 | 約6万円 |
受講資格 | ドローンの飛行経験が10時間以上あること |
有効期間・更新 | 2年間 |
DJIスペシャリストを資格するための講習であるDJI CAMPに申し込むためには、10時間以上のドローン操縦経験を証明する必要があります。DJI CAMPはUTCが企画しますが、実際の講習はUTCから講習を請け負った会社が担当します。講習を請け負う会社は多数あり、全ての会社の運用ルールを把握しているわけではありませんが、DJI製のドローンを所有している人については、「DJI GO」というアプリで管理される飛行時間の提示を求められる場合もあるようです。
DJIインストラクター
DJIインストラクターはその名の通り、DJI JAPANが認定する資格であるDJIスペシャリストを育成することが可能な資格です。DJIインストラクターを認定するためのDJI CAMPに参加し、DJIスペシャリストと同様に試験に合格することで取得できます。
資格名称 | DJIインストラクター |
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認定団体 | DJI JAPAN株式会社 |
認定内容 | DJIマスターの指導によるDJI CAMPを受講した50時間以上の飛行操縦経験がある操縦者で、DJIスペシャリストの教育、監督、技能資格の認定を行い、同時に認定責任を負う者 |
取得方法 | DJI JAPAN株式会社傘下の UTCが企画する教育プログラム「DJI CAMPインストラクター認定講座」に参加し認定試験に合格すること |
取得費用 | 約11万円 |
受講資格 |
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備考 | DJIインストラクターに認定される人数は年間の上限がある。 |
DJIインストラクターの認定講習は非公開のようで、誰でも受講できるわけではなさそうです。現状は、DJI JAPANと関係の深い企業に所属しているなど、関係者のみが受講できるようです。受講に際してはDJI JAPANの担当者との面談も実施されます。
DJIマスター
DJIインストラクターよりもさらに上位に位置する資格で、DJIインストラクターの教育や認定を行っているようです。あまり詳しい情報が公開されていないため、受講費用などいくつか不明な点があります。
資格名称 | DJIマスター |
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認定団体 | DJI JAPAN株式会社 |
認定内容 | 100時間以上の飛行操縦経験があり、電波法、航空法などの高度な知識と、重要な業務場面での操縦経験、指導経験、安全運営の知識を有する操縦者で、DJIインストラクターの教育、監督、技能資格の認定を行い、同時に認定責任を負う者 |
取得方法 | DJI JAPAN株式会社傘下の UTCが企画する教育プログラム「DJI CAMPインストラクター認定講座」に参加し認定試験に合格すること |
取得費用 | 非公開 |
受講資格 |
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国交省公認資格・DJIスペシャリストを取得するメリット
DJI JAPANの認定資格「DJIスペシャリスト」「DJIインストラクター」「DJIマスター」について、それぞれがどんな資格かは分かってもらえたでしょうか。では次に、DJIスペシャリストに代表される、DJI JAPANの認定資格を取得することにどのようなメリットがあるのか考えてみます。
国土交通省の飛行許可申請を簡略化できる
まずは大前提の確認ですが、ドローンを飛ばすことに関して、基本的に資格は必要ありません。航空法による規制は確かにありますが、これは特定の空域及び飛行方法に対して、国土交通大臣の許可又は承認が必要になることを定めているものであり、ドローンの飛行に免許が必要などとは定めていません。
ポイント
以下の空域を飛行する場合は、国土交通大臣の許可が必要です。
- 空港等の周辺の上空の空域
- 150m以上の高さの空域
- 人口密集地区の上空
ポイント
以下の方法で飛行する場合は、国土交通大臣の承認が必要です。
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 第三者の人又は物件から30m未満の飛行
- イベント上空飛行
- 危険物輸送
- 物件投下
DJIスペシャリストに代表されるDJI JAPANの認定資格は、国土交通省の公認を得ている認定団体(この場合はDJI JAPAN)が発行する資格の一つです。国土交通省の公認を得ているため、上に示す特定の空域及び飛行方法で飛行する場合に提出する申請書で、いくつかの書類を省略し手続きを簡略化できます。
ビジネスの上で操縦技術の担保になり信頼を得られる
K-kiがドローン操縦の資格取得において最も重要だと考えているポイントが、「操縦技術を証明してビジネスの上で信頼を得られる」ことです。
このページで紹介しているDJIスペシャリスト等のDJI JAPANの認定資格に限らず、ドローンの操縦に関連の資格取得を目指す人の多くは、ドローンを使った仕事をしたい、ドローンをビジネスに活用したい、というモチベーションを持っています。そういった人にとって最も重要なのは、顧客に安心して仕事を依頼してもらえるよう、自身の操縦技術を証明することではないでしょうか。
顧客の立場からは、多少コストが掛かっても、操縦が上手く安全な飛行計画を立ててドローンを飛ばしてくれる人に仕事を依頼したいはずです。もしも操縦技能が不足しているパイロットに仕事を依頼してしまい、その結果事故が起こったりすれば、仕事を依頼した自分にも責任が及んでしまうかもしれませんからね。
仕事を依頼してくれる顧客の不安を取り除き、安心してもらうためのツールが「資格」だと考えれば、資格は顧客との信頼関係を築くための材料であり、その取得にかかる費用は決して高くはないと思います。
ドローン保険の割引を受けられる
DJIスペシャリストを取得するメリットとして、ドローンにかける保険料が安くなるというポイントもあります。自動車保険でゴールド免許だと保険料が安くなるのに似ていますね。
DJI製の機体を購入すると、購入後1年間は「DJI無償付帯賠償責任保険」という保険が適用され、対人賠償は最大で1億円、対物賠償は最大で5000万円までの保証を受けられます。この無償付帯賠償責任保険が満期を迎えた後は、「DJI賠償責任保険」という有料の保険に加入する場合が多いですが、DJIスペシャリストの資格を保有していると、このDJI賠償責任保険の保険料が10%オフになるのです。地味に嬉しい特典ですよね。
ドローンの保険には、他にも多くの種類があります。興味のある人はこちらのページも参考にしてくださいね。
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ドローン保険と選び方-ドローン・ラジコン飛行機の安全なフライトのために
ドローン・マルチコプター・ラジコン飛行機を飛ばすのであれば、事故のリスクに向き合う必要があります。トラブルが発生してからでは遅いので、ドローン保険に加入していざというときに備えておきましょう。ホビー用途ならDJI無償付帯保険か、ラジコン保険がおすすめです。
他のドローン資格との違い
ここまでに書いてきた内容で、DJI JAPANの公認資格がどのような制度で運営されており、取得することでどんなメリットが得られるか分かってもらえたかと思います。確かにDJIスペシャリスト等の資格を取得するとメリットがありそうですが、皆さん知っているようにドローン操縦の資格は他にも多数あります。
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ドローンの資格にはどんな種類がある?JUIDA・DPA・DJI等を解説
ドローンの操縦に関連する資格について、認定団体や法的背景も交えて分かりやすく解説しています。種類が非常に多いドローンの資格の中から、実用性の高いものを抽出し、取得方法、費用、有効期限、受講資格などを紹介します。
こちらのページでも紹介しているように、国土交通省の公認を得ている資格認定団体が2019年9月時点で40を超えているため、国土交通省の公認となっている資格も既に40以上存在することになります。
ここでは、DJIスペシャリスト等の資格は、他のドローン操縦資格とどう違うのか、という観点で整理してみます。
世界シェアNo.1のドローンメーカーが認定する資格
まず第一に考えるべきポイントは、資格の認定団体が、世界一のドローンメーカー「DJI」ということです(厳密にはその日本法人ですが)。ドローンにあまり詳しくない人でも、DJIという会社くらいは知っている、という人は少なくありません。
従って、DJIの認定資格を持っていると、ドローンに詳しくない人も含め多くの人に「ドローンの操縦が上手い」と思ってもらえるでしょう。上にも書きましたが、ドローン操縦の資格を取得する目的の中でも、操縦技術に信頼を持ってもらうことはとても重要です。DJIというメーカーの知名度でお客さんが納得感を持ってくれるのなら、これほどありがたいことはありません。
10時間以上の飛行経験が前提だが安い
JUIDA認定の「無人航空機操縦技能証明証」やDPA認定の「ドローン操縦士回転翼3級」といった資格を取るためには、ドローンスクールの受講料を含めると20~30万円ほどのお金が必要です。しかし、DJI CAMPの参加料は概ね6万円程度であり、格安で資格を取得することができます。
安く資格が手に入るのは嬉しいことですが、DJI CAMPは他のドローンスクールのような講習をしてくれるものではなく、どちらかと言うと技量や知識を確認するためのテストの意味合いが強いです。車の免許に例えると、JUIDAやDPAの認定スクールで講習を受けて資格を取得するのは教習所に通って免許を取る方法で、DJI CAMPに参加して資格を取るのは教習所に行かず運転免許試験場でテストを受ける「一発免許」と呼ばれる方法に相当するようなイメージです。
そのため、DJI CAMPに参加する条件にも、10時間以上の飛行経験を持つことが明記されています。そもそも、ドローンをちゃんと飛ばせる前提というわけですね。
従って、十分な飛行経験を持ち操縦技能にも知識にも自身がある人には、DJI CAMPはおすすめです。そうでなければ、他の方法を考えたほうが良いかもしれません。
DJIスペシャリストの資格を取得する方法
ここまでに、ドローン操縦の資格を取得するメリットや、その中でもDJI JAPANの認定資格が持つ特徴などを紹介してきました。DJIスペシャリスト等のDJI JAPAN認定資格が、あなたの求めている資格だと確信が持てたなら、DJI CAMPに参加して資格の取得に挑戦してみましょう。
DJI CAMAPを受講する
まずはDJI CAMPを受講するために申し込みが必要です。DJI CAMPを請け負っている会社は日本各地にかなり多数あるため、お住いの地域に近い開催地を探せると思います。DJI CAMPを企画するUTCのサイトで、DJI CAMPの開催スケジュールが公開されているので、まずはここで開催日時と場所を確認しましょう。
リンク先のページでは、右端にパートナー企業が掲載されています。このパートナー企業が、実際にDJI CAMPを行う会社です。どうやら直接申し込みページにはいけないようなので、会社名で検索して各会社のホームページからDJI CAMPに申し込んでください。
DJI CAMAPの受講条件
上にも書いたとおり、DJI CAMP(DJIスペシャリスト認定用)に参加するためには「10時間以上の飛行経験」が必要です。エビデンスを求められることもあるため、DJI GOアプリのフライトログなど根拠になるものを用意しましょう。
DJI CMAPの受講費用
主催する会社によって受講費用は異なりますが、概ね6万円程度の場合が多いようです。
DJI CAMPの受講内容
DJI CAMPでは、以下の内容の座学講座を受講します。
ポイント
DJI CAMP 座学講座の内容は以下の通りです。
- 第1章 操縦者の行動規範
- 第2章 安全基準
- 第3章 禁止事項
- 第4章 マルチコプターの概論
- 第5章 電波について
- 第6章 気象について
- 第7章 飛行について
- 第8章 DJI製品について
- 第9章 法律について
認定試験に合格する
座学講座を受講した後、認定試験を受験します。試験内容は以下のとおりです。
ポイント
DJI CAMP 認定試験の内容は以下の通りです。
- ①飛行計画レポート作成:50点満点
- ②飛行技能テスト:50点満点
- ③最終オンラインテスト(選択問題):100点満点
①、②テストに合格した受講生が、最終オンラインテストを受験できます。
ポイント
DJI CAMP 技能テストの内容は以下の通りです。
- 機体コンディションチェック
- 機体コンディションチェック
- ホバリング 1分間
- 右or左のホバリング 1分間
- 対面ホバリング 1分間
- 前進してポールまで飛ぶ
- 対面で離陸地点に戻ってくる
- 8の字旋回×2
- ノーズインサークル×2
- 着陸
参考DJI CAMPスペシャリスト認定講座-DJI CAMP-UTC JAPAN
認定書発行手続きをする
最終オンラインテストに合格後、認定証発行のための手続きをすれば、認定証が届きDJIスペシャリストの資格保有者と認められます。
DJIスペシャリストを取得できるドローンスクール
ここまででも説明したとおり、DJIスペシャリストを取得するためにはDJI CAMPに参加する必要があります。そして、DJI CAMPを実施している会社はかなりたくさんあるので、どの会社が良いか選ぶのも一苦労です。
いろいろなお役立ち情報も紹介しているので、おすすめドローンスクールのまとめページもぜひ見てほしいのですが、せっかくなのでこのページでもK-ki(K-ki@Ailerocket)の独断と偏見でおすすめのDJI CAMP主催企業を紹介します。
セキド
DJI CAMPの主催企業として有名で、またDJIドローンの正規代理店でもあります。セキドのホームページによると、DJIスペシャリストの約4割が、セキドが主催するDJI CAMPを卒業しているそうです。主に神奈川県横浜市でDJI CAMPを開催しているため、近くに住んでいる方は第一候補にして良いと思います。
スカイシナプス(SkySynapse)
スカイシナプスが提供するDJI CAMPに参加すれば、沖縄でリゾート気分に浸りながらDJIスペシャリストの資格が取れちゃいます。DJI CAMPは2日間の日程で開催されることが多いですが、スカイシナプスの場合は3日間の日程で開催しています。少しゆったり目のスケジュールで、南国気分に浸りながら資格を取得するのも楽しそうです。