こんにちはー!ドロニストのK-ki(K-ki@Ailerocket)です。
ドローンは非常に便利な道具ではあるものの、使い方を間違えると重大な事故・事件を起こしうる危険性をはらんでいます。こういった危険性は多くの人が知るところなので、ドローンビジネスを行うためにはクライアントが安心して仕事を依頼できるように、ドローンパイロットの技量が十分であることを示すのがベターでしょう。
そこで活躍するのがドローン操縦の資格です。資格を持ったパイロットがドローンを操縦するとなれば、クライアントも納得してくれて、仕事を受注できる可能性が高まります。ドローン操縦の資格は数が多く差が分かりにくいですが、こちらのページで違いを見抜くために着目すべきポイントと、おすすめの資格を紹介しているので、資格取得の際には参考にしてください。
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ドローンの資格はどれがおすすめ?主な資格4種類の目的別の選び方
多数あるドローンの資格から主要な4種(JUIDA、DPA、DJI JAPAN、ドローン検定)について、長所と短所を比較しながら取得すべき資格の選び方を解説します。また、資格取得のメリットやそれぞれの資格を取得するためのスクールも紹介します。
一方で、資格取得には難点もあります。資格を取るためには「ドローンスクール」という施設で講習を受講する必要があるのですが、その受講料が高いのです。そこで今回は、助成金を利用してコストを抑えながら資格を取得する方法について紹介します。
ドローンの資格取得で助成金の支給対象になる場合がある
ドローンスクールで資格を取得するために必要となる受講料は、ドローンスクールによって幅があるものの、概ね一人あたり20万円程度のコストが掛かります。ドローンビジネスに参入するためには、こういった教育に掛ける費用に加え、ドローンの機体を購入又はレンタルする費用や、万が一事故が起きたときのための保険など、は何かとお金が必要です。
そんなときに役立つのが、今回紹介する「人材開発支援助成金」です。人材開発支援助成金は厚生労働省が労働者のキャリア形成を効果的に促進するために支給する助成金で、いくつか条件がありますが、ドローンスクールで資格を取得する場合にも適用されます。
人材開発支援助成金とは
前述の通り、人材開発支援助成金は、労働者のキャリア形成を効果的に促進するために厚生労働省が支給する助成金です。まずはその目的や具体的な助成の内容について簡単に紹介します。
目的
厚生労働省HPに掲載されている人材開発支援助成金のパンフレットでは、「労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度」として人材開発支援助成金を紹介しています。助成金なので、支給されたお金を返済する必要はありません。
参考人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース)
人材開発支援助成金は、実施する訓練の内容等によって以下に示す7種類のコースに分けられます。
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇付与コース
- 特別育成訓練コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
このうち、ドローンスクールでの講習受講が助成金支給の対象になるのは、一般的に「特定訓練コース」と「一般訓練コース」の2種類です。特定訓練コースのほうが対象者の制限が厳しく、助成される金額は多いです。
特定訓練コース
特定訓練コースは、訓練の内容によってさらに7つの助成メニューに細分されます。
- 労働生産性向上訓練
- 若年人材育成訓練
- 熟練技能育成・承継訓練
- グローバル人材育成訓練
- 特定分野認定実習併用職業訓練
- 認定実習併用職業訓練
- 中高年齢者雇用型訓練
ドローンスクールで一般的に適用されるのは、このうち2つ目の「若年人材育成訓練」です。詳細は以下のとおりです。
特定訓練コース(若年人材育成訓練)の訓練対象者
- 雇用契約締結後5年未満かつ35歳未満の雇用保険の被保険者である労働者
特定訓練コース(若年人材育成訓練)の対象要件
- Off-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)により実施される訓練であること
- 実訓練時間が10時間以上であること
一般訓練コース
一般訓練コースは、特定訓練コース以外の訓練を事業主もしくは事業主団体等が実施する場合に助成の対象となります。特定訓練コースに比べると対象となる条件が緩い分、助成額は少なくなります。
一般訓練コースの訓練対象者
- 雇用保険の被保険者である労働者
一般訓練コースの対象要件
- Off-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)により実施される訓練であること
- 実訓練時間が20時間以上であること
- セルフ・キャリアドック(定期的なキャリアコンサルティング)の対象時期を明記して規定すること
人材開発支援助成金の申請条件
人材開発支援助成金の対象となることをアピールしているドローンスクールは数多くありますが、この助成金が支給されるか否かは受講者側が要件を満たすかどうかも影響してきます。受講者側が満足すべき要件はかなり数多くあるため全てを網羅することはできませんが、代表的なものについて確認しておきましょう。
雇用保険適用事業所であること
まず、人材開発支援助成金の申請者が雇用保険適用事業所の事業主である必要があります。原則として、労働者を雇用する事業はすべて雇用保険の「適用事業」となるため、人を雇っている場合はこの項目はクリアできるでしょう。当然ですが、雇用保険の適用事業となる場合は、労働保険料(雇用保険・労災保険)の納付や各種の届出を行う必要があります。
支給対象となる労働者が雇用保険の被保険者であること
人材開発支援助成金の支給対象となる訓練を受ける労働者が、雇用保険の被保険者である必要があります。正規雇用・非正規雇用の区分は問いません。
また、事業主自身は雇用保険の被保険者となることはできないため、事業主がドローンスクールで講習を受ける場合には、人材開発支援助成金を申請することはできません。
職業能力開発推進者を選任していること
従業員のキャリア形成を支援するためには、職業能力開発を計画的に企画・実行することが大切であり、こうした取組を社内で積極的に推進する人が「職業能力開発推進者」です。人材開発支援助成金を受給するためには、この職業能力開発推進者を専任している必要があります。
職業能力開発推進者は、主に以下の役割を果たします。
- 事業内における職業能力開発計画の作成と実施
- 企業内での従業員に対する職業能力の開発に関する相談と指導
- 国、都道府県、中央職業能力開発協会(各都道府県協会)との連絡等
事業内職業能力開発計画を作成・周知していること
ドローンスクールで講習を受講した際に適用される「特定訓練コース」「一般訓練コース」では、助成金の支給要件として事業内職業能力開発計画を定めていることが規定されています。事業内職業能力開発計画は、従業員の職業能力の開発・向上を段階的かつ体系的に行うために、事業主が作成する計画です。
この計画は、従業員がどんな技能を身につけたらよいか、そのためにはどんな訓練を受ければよいかを明確にし、経営者と従業員管で能力開発についての共通理解を形成し、目標に向かって進めるための道しるべなるもので、職業能力開発促進法で事業主の努力義務として規定されています。
訓練期間中も通常の賃金を支払っていること
人材開発支援助成金は、訓練に掛かる経費と賃金を助成するものです。従って、訓練期間中の賃金を事業主が負担していることが前提となります。
支給対象経費を事業主が全額負担していること
賃金と同様に、訓練にかかる経費(ドローンスクールの場合はスクールの受講料など)を事業主が全額負担していることも前提となります。
人材開発支援助成金の受給額と受給例
助成金制度の内容が概ねわかったところで、実際に人材開発支援助成金を受給する場合どの程度の金額になるのかを解説していきます。まず、助成額は以下の表を参照して計算することができます。
支給対象となる訓練コース | 賃金助成 (1人1時間当たり) |
経費助成 | |||
---|---|---|---|---|---|
中小企業 | 中小企業以外 | 中小企業 | 中小企業以外 | ||
特定訓練コース | 生産性要件を 満たさない場合 |
760円 | 380円 | 45% | 30% |
生産性要件を 満たす場合 |
960円 | 480円 | 60% | 45% | |
一般訓練コース | 生産性要件を 満たさない場合 |
380円 | 30% | ||
生産性要件を 満たす場合 |
480円 | 45% |
生産性要件による助成額の割増
人材開発支援助成金では、企業における生産性向上の取組みを支援するため、「生産性要件」を満足した場合に助成額の引き上げが行われます。生産性要件は、人材開発支援助成金の訓練コースによって異なりますが、ドローンスクールで講習を受講する場合に対象となる「特定訓練コース」及び「一般訓練コース」では以下のように規定されています。
さらに詳しく
特定訓練コース及び一般訓練コースにおける生産性要件:訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること
なお、「生産性」は(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数として定義されています。
要件を満足した場合、訓練開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日から起算して5ヶ月以内に割増し助成分のみ別途申請する必要があります。
助成額のサンプルケース
助成額の計算方法が分かったので、具体的にドローンスクールで講習を受講した場合に受給できる助成金の金額を計算してみましょう。サンプルケースとして、中小企業で雇用保険に加入している労働者が、が特定訓練コース(若年人材育成訓練)に該当する訓練をドローンスクールで受講した場合かつ生産性要件を満たさない場合に、事業主が受給できる助成額を例に計算してみます。
(例)特定訓練コース(若年人材育成訓練)の助成額(中小企業の場合)
- スクール受講料:320,000円
- スクール受講時間:15時間
- 賃金助成:760円×15時間=11,400円
- 経費助成:320,000円×45%=144,000円
助成金受給額:11,400円+144,000円=155,400円
実際には、訓練期間中の賃金もコストとして発生していますが、金額はケースバイケースなのでここでは割愛しています。スクールの受講費に対して概ね半分程度の金額が助成されるという計算結果です。
ドローンビジネスに参入する場合や、ドローンパイロットの人数を増やしたい場合などは、助成金を積極的に活用することで十分なコスト低減効果があるということが分かるでしょう。
助成金受給までの流れと申請手続き
人材開発支援助成金の制度を紹介し、助成額の目安も計算できるようになりました。では、具体的な手続きはどうやればよいのでしょうか。人材開発支援助成金を申請するための大まかな流れを紹介します。
前準備(社内制度の整備)
まずは人材開発支援助成金が支給されるための要件として規定されている制度を、社内で整備する必要があります。具体的には以下の2点です。
- 職業能力開発推進者の選任
- 事業内職業能力開発計画の策定
都道府県労働局へ訓練計画の提出
訓練実施に際し、社内で訓練計画の作成が必要です。訓練計画の作成後、訓練開始日から起算して1ヶ月前までに「訓練実施計画届」等の必要書類を各都道府県の労働局への提出します。
訓練の実施
訓練計画の提出後、実際に訓練を実施します。ドローンスクールで講習を受講することが、訓練の実施に該当します。
都道府県労働局へ支給申請書の提出
訓練終了日の翌日から起算して2ヶ月以内に「支給申請書」等の必要な書類を各都道府県の労働局に提出する必要があります。
なお、提出済みの訓練計画に変更が生じた場合は、たとえ軽微な変更であっても支給申請書の提出までに変更届を提出する必要があります。
助成金の受給
支給審査の上、労働局から支給・不支給の通知が行われます。支給が決定されれば、助成金が支払われます。
助成金申請の問い合わせ/申請窓口
このページでは人材開発支援助成金について、制度の内容を大まかに把握できるよう概要を説明しています。助成金の申請に際しては、要件等を細かく確認する必要があります。人材開発支援助成金に関する不明事項は、以下の問い合わせ窓口等に連絡してください
ドローンスクールで取得する資格の種類を決める
このページでは、ドローンスクールで資格取得する際に利用できる人材開発支援助成金について紹介してきました。助成金の申請はもちろん大事ですが、取得する資格の種類も同様に大切です。ドローンに関連する資格は玉石混交であり、知名度が高く実用性のある資格を取得しないと、ビジネスの上では期待する高価を発揮できない可能性が高いです。
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ドローンの資格にはどんな種類がある?JUIDA・DPA・DJI等を解説
ドローンの操縦に関連する資格について、認定団体や法的背景も交えて分かりやすく解説しています。種類が非常に多いドローンの資格の中から、実用性の高いものを抽出し、取得方法、費用、有効期限、受講資格などを紹介します。
ドローン操縦に関連する資格については、こちらのページで紹介しています。2020年現在、ドローンの資格はすべて民間資格ですが、一部国土交通省の公認を得ているものもあります。制度についてよく理解した上で、適切な資格を選ぶ参考にしてください。
取得したい資格に合わせてドローンスクールを選ぶ
ドローン操縦の資格取得に際しては、ドローンスクールで講習を受講する必要があります。ドローンスクールによって取得できる資格が違うのはもちろん、同じ資格を取得できるスクールであっても、受講料やカリキュラム、アフターサービスの面で差があることは少なくありません。
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ドローン操縦スクール比較!取得資格や受講コースからおすすめを紹介
ドローンスクールで資格を取る際に湧く疑問を徹底解決します。ドローンを飛ばすための資格の必要性から始まり、資格を取得するメリット、実用性の高い資格、ドローンスクールの選び方、おすすめのドローンスクール等を解説しています。
資格を取得するドローンスクールを選ぶ際には、こちらのページで紹介している選び方・おすすめスクールも参考にしてください。
まとめ:まずは無料説明会で助成金について相談
今回はドローンスクールで資格を取得する際に受給できる人材開発支援助成金について紹介しました。なかなか複雑な制度であり分かりにくい面もあったと思いますが、実際に助成金を申請するにあたっては、ドローンスクール側のサポートが得られる場合も多いです。
ほとんどのドローンスクールでは、受講検討している人を対象に、無料操縦体験会・無料説明会を開催しています。ドローンスクール側のスタッフが質問に答えてくれるため、人材開発支援助成金の支給を検討している場合には、この無料説明会で申請に必要な手続きや書類などについて質問してみましょう。過去に助成金の申請等を支援した実績があれば、具体的な方法等について相談に乗ってもらえるはずです。
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ドローンスクールに申し込む前に!無料説明/体験操縦会を活用しよう
ドローン操縦の資格を取る場合、ドローンスクールで講習を受けるのが一般的ですが、受講費などがネックになり資格取得に踏み出せない人も多いです。そんな時は疑問解消のため無料操縦体験・説明会に参加し、現場の様子を見てみましょう。
まずは資格取得の候補となるドローンスクールを決め、そのスクールの無料説明会に参加して相談するところから始めてみると良いでしょう。